○小坂町議会基本条例

平成22年3月2日

条例第2号

(前文)

地方分権の時代を迎えて、地方自治体の「自主性」「自立性」が強く問われる今日、自治体の最終意思決定機関である議会が、地域における民主主義の発展と町民の幸せの向上のために果たすべき役割と責任は、将来に向けてますます大きくなっている。

小坂町議会(以下「議会」という。)は、小坂町民(以下「町民」という。)の意思を町政に的確に反映させ、小坂町としての最良の意思決定を導く責任を負っている。

議会は、二元代表制の一方の機関として、常に「町民の代表」としての意識のもとに、小坂町長(以下「町長」という。)等の行政機関との持続的な緊張を保ちつつ、その政策決定並びに事務執行について「監視機能」を充分に果たすとともに、町民の幸せの向上を図るための「立法機能」について、持てる権能を十分に駆使して、真の地方自治の確立を目指さなければならない。

議員は、「町民に選ばれた代表」であるとともに、「町民全体の奉仕者」であることを認識し、議会における自由かつ闊達な論議を通じて、これらの使命を達成する任務を負うとともに、その道程・結果を主権者である町民に報告する義務を負う。

また、単に議会活動に埋没することなく、町民とのコミュニケーションを通して、町民の幸せの向上のための施策を構築することと併せて、率先してコミュニティ活動に参画し、町民とともに地域づくりを推進する責務を負う。

議会及び議員は、これらの活動を通じて、日本国憲法に定める地方自治の本旨にふさわしい活動をするために、この小坂町議会基本条例を制定するものであり、この条例の定めるところにより町民の信託にこたえ、存在感のある議会を築くため、使命感を持って職務に取り組み、活力ある地域社会を実現することを誓約する。

第1章 目的

(目的)

第1条 この条例は、分権と自治の時代にふさわしい、町民に身近な議会及び議員の活動の活性化及び充実のために必要な議会運営の基本事項を定めることによって、町政の情報公開及び町民参加を基本とした小坂町の持続的で豊かなまちづくりの実現に寄与することを目的とする。

第2章 議会及び議員の活動原則

(議会の活動原則)

第2条 議会は、次の各号に掲げる原則に基づき活動するものとする。

(1) 町民主権を基礎とする町民の代表機関であることを常に自覚し、公正性、透明性及び信頼性を重んじ、町民に開かれた議会及び町民参加を不断に推進することを目指して活動する。

(2) 議会が議員、町長、町民等の交流と自由な討論の場であるとの認識に立って、その実現のために、この条例に規定するもののほか、別に定める議会会議規則等の内容を継続的に見直すものとする。

(3) 別に定める規則による町民の議会の傍聴に関し、傍聴者の求めに応じて議案の審議に用いる資料等を提供するなど、町民の議会傍聴の意欲を高める議会運営に努める。

(4) 会議を定刻に開催するものとし、会議を休憩する場合には、その理由及び開会時刻を傍聴者に説明するよう努める。

(議員の活動原則)

第3条 議員は、次の各号に掲げる原則に基づき活動するものとする。

(1) 議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、議員相互間の自由な討議(以下「自由討議」という。)の推進を重んじること。

(2) 町政の課題全般について、課題別、地域別等の町民の意見を的確に把握するとともに、自己の能力を高める不断の研さんによって、町民の選良にふさわしい活動をすること。

(3) 個別的な事案の解決だけではなく、町民全体の幸せの向上を目指して活動すること。

第3章 町民と議会の関係

(町民参加及び町民との連携)

第4条 議会は、議会の活動に関する情報公開を徹底するとともに、町民に対する説明責任を十分果たさなければならない。

2 議会は、本会議のほか常任委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)を原則公開とするとともに、会期中または閉会中を問わず町民が議会の活動に参加できるような措置を講ずるものとする。

3 議会は、委員会の運営に当たり、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用して、町民の専門的または政策的な識見等を議会の討議に反映させるものとする。

4 議会は、請願及び陳情を町民による政策提言と位置づけるとともに、その審議においては、これら提案者の意見を聞く機会を設けるよう努めなければならない。

5 議会は、一般会議の設置など、町民、町民団体等との意見交換の場を多様に設けて、議会及び議員の政策能力を強化するとともに、政策提案の拡大を図るものとする。

6 議会は、重要な議案に対する各議員の態度を議会広報で公表する等、議員の活動に対して町民の的確な評価に資する情報の提供に努めるものとする。

7 議会は、前各項の規定に関する実効性を高める方策として、全議員出席の下に町民に対する議会報告会を開催して、議会の説明責任を果たすとともに、これらの事項に関して町民の意見を聴取して議会運営の改善を図るものとする。

第4章 町長と議会の関係

(質疑応答の方法)

第5条 本会議における議員と町長及び執行機関の職員(以下「町長等」という。)の質疑応答は、広く町政上の論点及び争点を明確にするため、一問一答方式とする。

2 議長から本会議又は委員会(以下「本会議等」という。)への出席を要請された町長等は、議員の質問に対して議長または委員長の許可を得て反問することが出来る。

(重要政策等の説明資料)

第6条 議会は、町長が提案する重要な政策、施策、事業等(以下「政策等」という。)について、審議の水準を高める観点から、町長に対して次の各号に掲げる事項について説明資料の提出を求めるものとする。

(1) 政策等の発生源

(2) 検討した他の政策等の内容

(3) 他の自治体の類似する政策等との比較検討

(4) 総合計画における根拠または位置づけ

(5) 関係ある法令及び条例等

(6) 政策等の実施に係る財源措置

(7) 将来にわたる政策等のコスト計算

2 議会は、前項の政策等を審議するにあたっては、その立案及び執行における論点及び争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。

(予算及び決算における政策説明資料)

第7条 議会は、予算及び決算の審議にあたっては、前条第1項の規定に準じて、分かりやすく施策別または事業別の政策説明資料を町長に求めるものとする。

第5章 自由討議

(自由討議の活用)

第8条 議長及び委員会委員長は、議会が討論の場であることを十分に認識し、第3条第1号に規定する自由討議の機会を設けなければならない。

2 議会は、自由討議において積極的な議論をつくすとともに、あわせて町民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。

第6章 議会及び議会事務局の体制整備

(委員会等の適切な運営)

第9条 議会は、社会情勢、経済情勢等により新たに生じる行政課題に適切かつ迅速に対応するため、委員会等の適切な運営により機動力を高めなければならない。

(議会情報の公開)

第10条 議会は、町民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する者に議会が保有する情報の一層の公開を図るとともに、議会の諸活動に関する説明責任が全うされるよう公正で民主的な運営に努めなければならない。

(議会事務局の体制整備)

第11条 議会は、議会及び議員の政策形成及び立案の能力を高めるため、議会事務局の調査機能及び法務機能を積極的に強化する。

2 前項に規定する目的を達成するため、当分の間、議会事務局における執行機関の法務機能の活用、職員の併任等を考慮するものとする。

(議員研修の充実強化)

第12条 議会は、議員の政策形成及び立案の能力向上等を図るため、議員研修の充実強化を図り、この条例の理念を議員に浸透させるよう努めるものとする。

2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家、町民各層等との議員研修会を積極的に開催するものとする。

3 議会は、議員にこの条例の理念を浸透させるため、選挙を経た任期開始後速やかに、この条例についての研修を行わなければならない。

(議会広報の充実)

第13条 議会は、町政に係わる重要な情報を、議会独自の視点から、常に町民に対して周知するよう努めるものとする。

2 議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの町民が議会及び町政に関心を持つよう、議会広報活動に努めるものとする。

第7章 議員の身分及び待遇並びに政治倫理

(議員定数)

第14条 議員定数は、別に条例で定める。

2 議員定数の改正にあたっては、行財政改革の視点だけではなく、町政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して町民の意見を聴取するため、各種審議会及び参考人制度並びに、公聴会制度を十分に活用するものとする。

(議員報酬)

第15条 議員報酬は、別に条例で定める。

2 議員報酬の改正にあたっては、行財政改革の視点だけではなく、町政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して町民の意見を聴取するため、報酬等審議会及び参考人制度並びに、公聴会制度を十分に活用するものとする。

(議員の政治倫理)

第16条 議員の政治倫理は別に条例で定める。

2 議員は、町民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚し、町民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。

第8章 最高規範性及び見直し手続き等

(最高規範性)

第17条 この条例は、議会運営における最高規範であって、議会は、この条例に違反する議会に関する条例、規則、規程等を制定してはならない。

(見直し手続き)

第18条 議会は、一般選挙を経た議員の任期開始後、出来るだけ速やかにこの条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検討するものとする。

2 議会は、前項の規定にかかわらず、この条例に規定する制度の改善が必要な場合は、この条例の改正を含めて適切な措置を講ずるものとする。

3 議会は、この条例を改正する場合には、全議員の賛同する改正案であっても、本会議において、改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。

この条例は、平成22年4月1日から施行する。

小坂町議会基本条例

平成22年3月2日 条例第2号

(平成22年4月1日施行)