○小坂町環境基本条例

平成14年12月26日

条例第48号

目次

第1章 総則(第1条―第8条)

第2章 環境の保全等に関する基本施策

第1節 施策の基本方針(第9条)

第2節 環境基本計画(第10条)

第3節 環境の保全等のための基本施策(第11条―第24条)

第4節 地球環境保全のための施策(第25条―第26条)

第3章 環境の保全及び創造に関する施策の推進体制等(第27条―第28条)

附則

小坂町は、野生生物や水を育む森林や我が国有数の湖沼である十和田湖など、四季の変化に富んだ豊かな自然環境を有し、国力の基盤である地下資源を活用した鉱山の町として発展してきた。いわば自然の恩恵を生命、生活の糧として栄えてきた歴史的背景を持っている。

一方、物質的に豊かで便利な暮らしを追求してきた現代社会のあり方は、同時に、環境への負荷を急激に高め、様々な環境問題を引き起こすとともに、生存基盤である地球全体の環境をも脅かしている。

自然環境と調和し、文化的で、潤いや安らぎ、ゆとりのある調和のとれた地域社会を創出し、将来の世代に引き継いでいくことは、今を生きる私たちの責務であり、今こそ、これまでの価値観や生活様式を見直し、物の豊かさから心の豊かさへと意識の転換を図ることが必要とされている。

このような認識の下に、小坂町に集うすべての人々の自主的で積極的な行動によって環境への負荷を減らし、小坂町の歴史的環境を背景として人と自然が共存できる豊かな郷土を築くとともに、次世代に引き継ぐべき地球環境の保全に資するため、ここに条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、自然と共生した良好な環境の保全並びに快適な環境の維持及び回復(以下「環境の保全等」という。)について、基本理念を定め、町、事業者及び町民(以下「社会の各主体」という。)の責務を明らかにするとともに、環境の保全等に関する施策の基本的な事項を定めることにより、その施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来にわたって町民が健康で安全かつ文化的な生活を営むうえで必要とされる良好な環境を確保することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境 大気、水、土壌、野生動植物が主体となる自然環境及び人間が主体となる生活環境をいう。

(2) 環境の保全上の支障 町民の権利義務に直接関わるような規制等の施策を講ずる目安となる程度の環境の劣化が生じることをいう。

(3) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(4) 環境の維持及び回復 生命の存続の基盤である環境を将来にわたって持続するとともに、劣化した環境をより健全な環境の状態に復元したり、より健全な環境の状態を創り出していくことをいう。

(5) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生動物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに町民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全等は、現在及び将来のすべての町民の権利として、生きとし生けるもの全ての生存基盤である環境の恵沢を享受し、健康的かつ文化的な生活を営む上で必要となる環境、自然と人の活動が調和した環境を将来にわたって確保することを目的として、適切に推進されなければならない。

2 環境の保全等は、環境への負荷が少なく、持続的な発展が可能な循環型社会の構築に向けて、社会の各主体がそれぞれの責務と役割分担の下に、自主的かつ積極的な取組によって行わなければならない。

3 地球環境保全は、地域における事業活動及び日常生活が地球全体の環境に影響を及ぼしていることにかんがみ、社会の各主体が自らの問題としてとらえ積極的に推進するようにしなければならない。

(町の責務)

第4条 町は、前条に定める環境の保全等についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、地域の自然的社会的条件に応じた環境の保全等に関する総合的かつ計画的な施策を策定し、推進する責務を有する。

2 前項に定めるもののほか、町は、自らの事務及び事業に関し、率先して環境への負荷を低減することにより、環境の保全上の支障の防止に努めるとともに事業者及び町民が行う環境の保全等に関する活動の促進を図るため、必要な情報の提供その他の措置を講ずるよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、公害を防止し、または環境を適正に保全するため、その責任において必要な措置を講ずる責務を有する。

2 事業者は、基本理念にのっとり、物の製造、生産、加工または販売その他の事業活動において、資源及びエネルギーの過剰な消費の抑制、並びに発生する廃棄物の抑制に努めるとともに、再生資源等の環境への負荷低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。

3 前2項に定めるもののほか、事業者は、地域社会の重要な構成員であるとの認識を持ち、その事業活動に関し環境の保全等に資するよう、自らまたは協働して積極的に努めるとともに、町が実施する環境の保全等に関する施策に協力する責務を有する。

(町民の責務)

第6条 町民は、基本理念にのっとり、その日常生活において、資源及びエネルギーの過剰な消費並びに廃棄物の排出等による環境への負荷の低減に努めるとともに、公害の防止及び自然環境の適正な保全等に努めなければならない。

2 町民は、基本理念にのっとり、地域社会の重要な構成員であるとの認識を持ち、自らまたは協働して環境の保全等に積極的に努めるとともに、町が実施する環境の保全等に関する施策に協力する責務を有する。

(各主体の協働)

第7条 社会の各主体は、基本理念にのっとり、地域社会の重要な構成員であるとの認識を持ち、各主体の責務において、環境の保全等に関する施策の実施に当たり、協働するよう努めなければならない。

(環境の状況等の公表)

第8条 町は、環境の状況及び環境の保全等に関して講じた施策の実施状況等を作成し、公表するものとする。

第2章 環境の保全等に関する基本施策

第1節 施策の基本方針

(施策の基本方針)

第9条 町は、基本理念にのっとり、次に掲げる基本方針に基づく環境の保全等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。

(1) 町民の健康の保護並びに生活環境及び自然環境の適正な保全が図られるよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されること。

(2) 人と自然とが共生する豊かな環境を実現するため、生態系の多様性の確保及び野生生物の種を保存し、森林、農地、水辺等における多様な自然環境を保全し、維持し、創出するとともに、潤い、安らぎ、ゆとりのある生活空間の実現を図るため、自然と調和した景観の形成、歴史的文化的な環境の形成等を推進すること。

(3) 環境への負荷の少ない循環型社会を構築し、広域的な地域との連携をも視野に入れた廃棄物の発生の抑制、循環的な有効利用及び適正処理を促進するとともに、資源及びエネルギーの過剰な消費の抑制、自然エネルギーの有効利用、排出物による環境への負荷の低減等を推進すること。

(4) 地球環境の保全に資する施策を推進するとともに、国、県、他の地方公共団体及び民間団体等と連携し、地球環境保全に関する国際協力の推進に努めること。

(5) 環境の保全等に関する施策を推進するに当たって、事業者及び町民の各主体と協働して推進するよう配慮し、その実行に努めること。

第2節 環境基本計画

(環境基本計画)

第10条 町長は、環境の保全等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、環境の保全等に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を策定しなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全等に関する総合的かつ中長期的目標及び基本的な施策の方向。

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項。

3 町長は、環境基本計画を定めるに当たっては事業者及び町民の意見が反映されるような措置を講ずるものとする。

第3節 環境の保全等のための基本施策

(環境影響評価の推進)

第11条 町は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行おうとする者が、当該事業の実施に当たり、あらかじめ、当該事業に係る環境への影響について自ら調査、予測及び評価を行い、その結果に基づいて、当該事業に係る環境の保全が適正に保てるよう、必要な措置を講ずるものとする。

(規制の措置)

第12条 町長は、環境保全上の支障防止、自然環境の保全、並びに地域の特性を形作っている環境を保全するため、必要と認めるときは、法令に特別の定めがある場合を除くほか、事業者及び町民等が遵守すべき事項を定めることができる。

2 町長は、前項に規定する事項を定めようとするときは、小坂町環境審議会の意見を聴かなければならない。

(環境の保全に関する協定の締結及び環境保全区域)

第13条 町長は、環境の保全を適正に推進するため、事業者等と協議が必要と認めたときは、事業者等と環境の保全に関する協定について協議し、その締結に努めるものとする。

2 町長は、環境保全上の支障防止、自然環境の保全、並びに地域の特性を形作っている環境を保全するため、必要と認めるときは、法令に特別の定めがある場合を除くほか、区域内の一定の行為を制限すること等を内容とする環境保全区域を設定することができる。

3 町長は、前項に規定する区域及び制限内容等を定めようとするときは、小坂町環境審議会及び土地の所有者その他の利害関係者の意見を聴かなければならない。

(誘導の措置)

第14条 町は、事業者及び町民自らが環境への負荷の低減に必要な取組をし、または施設の整備その他の環境の保全等に関する適切な措置を講ずるよう誘導するとともに、必要に応じて助言、情報の提供、助成その他の措置を講ずるよう努めるものとする。

(環境の保全等に関する施設の整備)

第15条 町は、下水道及び廃棄物の公共的な処理施設の整備、その他の環境への負荷の低減に資する公共的施設の整備を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

2 町は、公園、緑地その他の公共的施設の整備、その他の自然環境の適正な整備及び健全な利用を図るための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(資源、エネルギーの循環的な利用等の推進)

第16条 町は、環境への負荷の低減を図るため、事業者及び町民による廃棄物の循環的な有効利用並びに発生の抑制、減量化及び適正な処理を推進するために、必要な措置を講ずるものとする。

2 町は、環境への負荷の低減を図るため、事業者及び町民による資源及びエネルギーの消費の抑制、資源の循環的な利用とエネルギーの有効利用を促進するために、必要な措置を講ずるものとする。

(野生生物、みどり、水資源の保全)

第17条 町は、野生生物の多様性を損なうことなく適正に保護管理するため、すぐれた自然環境及び特に保全することが必要と認められる身近な自然環境について、その生息空間及び生育環境の保全に配慮するとともに、在来野生生物及び希少な野生生物の保護に努めるものとする。

2 町は、人と自然が共生できる基盤として、生態系を尊重したみどり資源の保全、維持及び創造を図るため、森林、農地その他の緑地が有する機能の保全及び維持並びに連続性のある緑空間の創造に努めるとともに、緑化の推進、河川空間の整備、農地の適正な管理の推進その他の必要な措置を講ずるものとする。

3 町は、河川、湖沼、湿原等における良好で健全な水環境の保全に努めるとともに、水道水源及び水源涵養のための森林その他の水資源の安全性を確保するため、必要な措置を講ずるものとする。

(ゆとりのある生活空間づくり)

第18条 町は、地域内の自然的社会的な条件下において、潤い、安らぎ、ゆとり等の心の豊かさが感じられる快適な生活空間の保全、維持及び創造を図るため、身近な緑や水辺との触れ合いづくり、市街地における緑化及び環境の美化の推進、自然環境と調和した良好な景観の形成、歴史的文化的な生活環境の形成その他の必要な措置を講ずるものとする。

(環境の保全等に関する教育、学習の推進)

第19条 町は、事業者及び町民が環境の保全等について理解を深め、共通の認識の下に環境の保全等に関する積極的な取組を行うことができるよう、環境の保全等に関する学習(以下「環境学習」という。)を総合的かつ体系的に推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(自発的な活動の促進)

第20条 町は、事業者、町民又はこれらの者が組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)が自発的に行う緑化活動、環境美化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全等に関する活動を促進するため、必要な支援に努めるものとする。

(情報の収集及び提供)

第21条 町は、環境学習の推進及び自発的な活動の促進に資するため、環境の保全等に関する必要な情報を随時収集し、これを適切に提供するよう努めるものとする。

(調査の実施及び監視体制の整備)

第22条 町は、環境の状況を把握し、環境の保全等に関する施策の策定に必要な調査を実施するとともに、環境の保全等に関する施策を適正に実施するため、必要な監視、測定等の体制整備に努めるものとする。

(立ち入り調査等)

第23条 町長は、この条例の施行に必要な限度において、事業者等に対し、施設の状況その他の必要な事項の報告をするよう、又は町の職員等による事業場等への立ち入り調査をさせるよう要請することができる。

2 事業場等は、前項に規定する調査等への協力要請を受けたときは、誠意をもってこれに応ずるよう努めなければならない。

3 第1項の規定により立ち入り調査をする職員等は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。

(改善勧告等)

第24条 町長は、この条例の施行に必要な限度において、法令に特別の定めがある場合を除くほか、事業者等に対し改善指導を行うことができる。

2 町長は、前項に規定する改善指導に協力が得られないときは、あらかじめ期限を定め、文章により改善勧告を行うことができる。

3 町長は、事業者等が、正当な理由なく、前項に規定する改善勧告に従わないときは、弁明の機会を与えた上、当該事業者等の氏名等を公表することができる。

第4節 地球環境保全のための施策

(地球環境保全のための行動の促進)

第25条 町は、地球環境保全に資する施策を推進するとともに、事業者及び町民がそれぞれの役割に応じて地球環境の保全に資するよう事業者及び町民による自主的かつ積極的な行動の促進を図るものとする。

(地球環境保全のための国際協力)

第26条 町は、国、県その他の地方公共団体及び民間団体等と連携し、地球環境保全に関する国際協力の推進に努めるものとする。

第3章 環境の保全及び創造に関する施策の推進体制等

(推進体制の整備)

第27条 町は、環境の保全等に関する施策を総合的かつ体系的に推進するため、関係機関相互の密接な連携と施策の調整を図るための体制の整備を講ずるものとする。

2 町は、環境の保全等に関する取組を事業者、町民及び民間団体等と協力して推進するための体制の整備に努めるものとする。

(国、県その他の地方公共団体等との連携等)

第28条 町は、国、県その他の地方公共団体等と連携し、環境施策の推進に努めるものとする。

2 町は、環境施策の推進を図るため、必要に応じて、国、県その他の地方公共団体等に対し、環境施策に関する提言等を行うものとする。

この条例は、公布の日から施行する。

小坂町環境基本条例

平成14年12月26日 条例第48号

(平成14年12月26日施行)

体系情報
第8類 生/第2章 保健衛生
沿革情報
平成14年12月26日 条例第48号